神野 広美氏

神野産業株式会社/インベントクリエイション有限会社 代表取締役 神野 広美さん

◆プロフィール◆
1959年 岐阜県恵那市の山深い僻地で長男として生まれる。
1978年 工業高校を卒業して名古屋市内の橋梁会社に勤務。
伊豆のループ橋をはじめ全国の現場を転々と。
1982年 現場で知り合った神野産業株式会社経理事務を していた次女と結婚。前職を退職して婿養子に。
1997年 代表取締役就任
2005年 インベントクリエイション有限会社設立、現在に至る。
西濃建設業協会 会員
大垣法人会 海津支部 支部長
岐阜サンリバーロータリークラブ 会員
青年経営者研修塾 塾生

はじめに

女性専用のフィットネスとして注目されているカーブス。神野さんはそこで6店舗のオーナー社長をしています。女性相手の仕事なのでもちろん社員は全員女性。しかも、営業中は男性立ち入り不可のため、社員の様子をつかむこともできません。そんな中、社員面接を活用して、スタッフのモチベーションを高め、一人一人の能力が輝く、生き生きとした会社作りを行っています。今回はそんな面接のコツについてお話を聞かせていただきました。

インタビュー

面接を意識して活用するようになった経緯を教えてください。

私の本業は河川工事などのインフラ整備を行う建設業です。こちらの社員は男性中心。業務も比較的やるべき事が明確なので、こちらの思いを伝えれば、多くを語り合わなくても、意気に感じて動いてくれるところがありました。

ですので、カーブスを始めた頃は、同じように、まずは社員に自分の思いを伝える事を意識して面接をしていきました。「僕はこんな夢を描いている」「一緒に頑張ろう」「こういうお店を作りたい」、そんな思いを伝えれば、きっと意気に感じて動いてくれるはず・・そう思っていました。しかし、結果は逆で、こちらが話せば話すほど、噛み合ない。その内、期待していた社員が辞めると言い出したり、仲間同士が対立したりと、問題が生じ始めました。
そんな時、社員面接の後、偶然「オーナーに面接してもらったけれど、何も聞いてもらえなかった。こんな面接受けたくない。」という社員の声を耳にしたのです。正直ショックでした。私は社員のためと思って一生懸命やっていたのに、全く社員のためになっていなかった。そうか、社員に問題があるのではなく、自分のやり方が何かずれていたのかもしれない・・。
それから、コーチングにも出会い、まずは部下の話を聞こう、と意識するようになりました。
しかし、なかなか「聞く」ことは難しい!
最初は聞こうと意識するのですが、気付くと自分が喋っている。聞いているようで、聞いていない。その証拠に話の主語は自分なんです。結局自分の言いたい事を言うために、相手の話を聞いている、そんな状態が半年くらい続きました。
なぜ自分は聞けないのか?
悶々と答えを模索していく中で、聞けないのは自分のリーダーシップの捉え方による事だと分かりました。
私はリーダーとは、人に影響を与え感化させていくことが役割だと思っていました。そのためには自分から何かをしなければいけないという思いがありましたし、問題が生じれば自分が解決しなければならない、それが部下の話を聞く事よりも、部下に話をする事を優先させていたのでした。
それから、まずは気持ちを聞こう、状況を解決するよりも気持ちを楽にする事を心がけよう、そう思って接するようになりました。
すると、不思議と自分自身に変化が起こってきて、社員は本当に苦労しながら頑張っているんだ!ありがとう!と心の底から感謝の気持ちが湧いてきたのです。気付いたら、それを素直に伝えるようになっていました。
また、定期的な面談と並行して、各店舗の日報に毎日必ずコメントを入れるようにもしました。今までは、マニュアル通りの対策しかアドバイスできなかったのですが、部下の話をきちんと聞くようになってからは、この人に今はどんな言葉をかけるのが良いだろうか、人とタイミングを見て適切な言葉を選ぶようになってきました。そして、入会一名のありがたみも強く感じるようになり、その喜びも素直に表現するようになりました。

これらを意識するようになってから、不思議と店舗の数字も伸びてきたのです。 お陰様で会員数の全国ランキングも上位に名前がでるようになりました。

素晴らしいですね。店舗数字だけではなく、リーダーも育ってきていますね。

はい。当社はリーダーとして、6人の店長と、それを統括するマネージャー、さらにメンターという二人の技術支援者、がいます。
でも、1年前にはリーダーは6人の店長しかいませんでした。
店舗を統括し、かつ自分の右腕にもなるマネージャーというポジションを作りたいとはずっと願ってきましたが、人に任すことがなかなかできなかったんですね。マネージャーにはこのくらいやって欲しい、という高い期待があって、任せられない、というのが正直な思いでした。
でも、社員と面接をするようになってから、社長とはいえ自分がすべてを理解する事は難しい、たとえできたとしても、一人でできる事は限られている、それよりも目の前の社員を信頼し、許容範囲をもって接していこう、そう思うようになってきました。
すると、リーダーが自分の理想と違う行動をしても、そういうやり方もあるんだな~と、冷静にありのままを認められるようになってきました。
その頃から、自発的にリーダーを目指す社員がぽつぽつと出てくるようになったんですね。

現在は、各リーダーが成長するために、彼女らを統率して動かそうとするのではなく、彼女達が働きやすいようにするために自分は何をすべきなのか、について考えるようになりました。そうすると自分では無理だと思うような事まで社員は動いてくれるんですよね。本当に感謝、感謝です。

編集後記

神野さんとは2年近くコーチとして関わらせていただいております。

神野さんは、いつも、どうしたら社員が仕事にやりがいを持って働いてくれるだろうか、ということを考え、模索しながらもトライし続けています。

そのために、社長という権威ポジションに頼ることなく、一人の人間として自分を見つめ、目の前の人と向き合う努力をしており、すごいなぁ~
といつも頭が下がります。なかなかエゴやプライドが邪魔をして、できそうでできないことですよね。

その成果が、リーダーの成長につながったり、社員の明るさや一生懸命さにつながっているのだと思います。

先日、リーダーシップ力の向上を目的に、管理職の方のグループコーチングを半年間行いましたが、最後の日に、受講した社員の方からお礼にとお心付けをいただきました。社員の方が自主的にそのようなことをするのはそれほど多くはありません。恐らく、トップである神野さんが日頃から感謝を行動に表しているからこそ、組織の風土として浸透しているんだろうな、そんな風に感じました。

インタビュー企業情報

◆神野産業株式会社◆
◆インベントクリエイション有限会社◆

◇神野産業株式会社
住所  〒503-0618 岐阜県海津市海津町草場102
TEL   0584-53-0584
FAX   0584-53-3090
http://www.camino.co.jp/

◇インベントクリエイション有限会社
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