不穏な空気を斬る

こんにちは。コーチング・システムズの稲垣陽子です。

今日は息子の話を少々。

先日、小学2年生の息子の友達3人が家に遊びに来ました。
最初は仲良くあそんでいたのですが、途中から不穏な空気が流れて来ました。

どうも、ちゃんばらをしているのですが、びりを決める遊びをしている様子。
しかも、一人親分がいてその人が無理難題なやり方を勝手に決め、それに合わせて
戦っている。
びりにはなりたくないと言う空気感と、親分の理不尽な要求を聞いている乾いた空気感が、場をピリピリと重くさせています。

「ここは大人として出た方がいいな・・」と思いつつ、なにせびり争いをしているのが息子なものですから、タイミングを図っていたところ、息子が

「嫌だ!」と大声で言ったのです。

すると唯一楽しくて仕方がない親分が、
「何で?」と言う。

息子:「これ、やりたくない」
親分:「じゃ、(ルールを)~~に変えていいよ」
息子:「いやだ、この遊びをやめる」
親分:「じゃ、(残りの二人を見て)AとBでやってよ」
AB:「僕たちもやりたくない」「やめる!」

そういうと、一気に3人が連合し、形勢逆転となったのです。

その瞬間重たい空気も一掃され、場が軽やかになりました。

その後、誰かが別の遊びを提案し、子ども達は何事もなかったかのように4人で仲良く遊び始めました。

単なる子どもの遊び風景ではありますが、大人の社会でも実は似たような空気はよく流れます。
本当は違うでしょ、と思っているけれど、渋々受け入れている組織の暗黙ルール、
課題も改善点も見えているけれど、受け入れている現実、

「嫌だ!」「違う!」と声に出したらどうですか、と言うと、

いやぁ、言ったら仕事がこっちにまわって来ても困るし・・・
そんなことを言ったら何倍にもなって返ってくるんです・・・
事態がさらに複雑になって面倒くさいことになるんです・・・
自分は言える立場ではないから・・・

と言って不穏な空気をそのままに「我慢」する。

こういう場合、リーダーであるあなたなら、どうすべきなのでしょうか。

確かに、「嫌だ!」というのはリーダーとしては必要なことです。
しかしリーダーが子どもと同じように「嫌だ!」というだけでは、組織が持っている二面性により、反発や嫌悪感が必要以上に出て、肝心の変革にはつながらないことがままあります。

なので、リーダーとしては、
1、嫌だ、と言うだけではなく、それに変わる代替案やビジョンを見せる。
2、部下(その直面者)が「嫌だ」と言えるようにサポートする

方法があります。

1番は、嫌だ!という感情にきちんとした客観的理論が付くことでより多くの人の納得感を得ることができます。

2番は、嫌だという現場の状況を一番理解している人が、きちんと「嫌だ」ということで、事態に気づきと変化を起こします。

しかし、実際にそれはなかなか難しい。とかくリーダーは、嫌だと言えるようにサポートすることよりも、嫌だと思っていることを解決する方に意識が行くのが自然です。

そこを敢えて、部下が自ら「嫌だ」と言えるようにサポートすることで、部下の成長につながると思います。
なぜなら、人は真実をきちんとアウトプットできたとき、人としてもう一歩前へ進むことが出来ると思うからです。

そう考えると、不穏な空気は、人を成長させる大きな機会になるのかもしれません。